そこが海ではないとして

This is the meaning of my life.

2017-02-01から1ヶ月間の記事一覧

だらしない海のなか

だらしないスーパーにはだらしない生鮮食品が並んでいる。全く買う気がしないね、と彼女は笑った。最寄りの店がこうだとわかってたら引っ越さなかったのに、などと言いながら、彼女はレトルト食品を買い物かごに詰めてレジへ向かう。 そのまま彼女の部屋に入…

暗喩の森

暗喩にとらわれすぎて本当のことが言えない病気だ。とはいえ、ちゃんと伝えられている気でいる。相手を選ぶ交信方法だとしても。この歪な電波を受信できる人を待ち望んでいる。 好きな人に好きって言う代わりに「チケット1枚余ってるんだけど」って言ったこ…

千里眼を謳う

大陸側の正義に翻弄される代替可能な日々を歩けば、昨日は躓いたからと古いセーブポイントを探して再スタートを切るための待ち時間に潜む焦燥、その間にも先へと進んでいる好敵手の声でまた動けずにいる。理想を掲げたプラカードは虚しく色褪せていく。 光ら…

追伸6号

降ってきたような初めてを、今日もあまりうまく答えられずにいる。でもまあ、降るものだし。降りるものだし。 自己肯定感が低いまま死ぬのかな。そうだろうな。と思った。対等にしゃべれない。ずっと僕が下層にいるからだ。いや、下層にいる、という意識で、…

チョコレートはイメージ

勘違いしないでほしい。俺はチョコレートさえ食べられればあとはなんでもいいのだ。 自分で買って食べたとて、チョコレートは美味しい。この季節になると様々な場所で過剰包装気味のチョコレートを目にするが、そんな飾りなどビリッビリに切り裂いてしまいた…

引きちぎる闇

そうなのかなあ。睡眠不足の精神でぼんやりと考える。僕はすっかり疲れ切っている。 疲れ切っていると物をたくさん買ってしまう。家に何冊も未読の小説があるのに、また5冊買ってしまった。そのうち1冊を読む。自分のことは自分でよくわかっているつもりだけ…

No.9

いろんなことへの実感がない。ただ事実だけが、文字として通り過ぎていく。これはどういうことなんだろう、と考える。大変なことなんじゃないか、と思う。わからない。 もっと悲しんでいる人がいる。もっと苦しんでいる人がいる。感情に温度があるのなら、ま…

絶対に許されなくていい、

と思った。 これは青春ごっこだ、と気付いてしまうほどに僕らは大人になった。別れがこわくない。科学にも後押しされている。お金を払えばいつでも会えるし、料金を気にせずに電話ができるし、タイムラインで僕と君の今日がわかるだろう。 インターネットを…

2.3

タクシーの料金改正でむしろ値段が高くなる君の家までの心理的距離の長さに溜め息をついた、いやもう今頃は降り積もる雪や怒りで通行止になっているでしょうね、幸せの方角がわからないから恵方巻を食べることができない、全然黙れないまま飲み込んで、2月3…

ハイライト

スタバでもドトールでも、タリーズでもベローチェでもない、けれどもどうやらチェーン店らしいカフェに、藤岡さんと入った。藤岡さんは1番大きなサイズのアイスコーヒーを頼んでいた。 「そんなにたくさん飲んだらお腹壊しませんか」 「豆がね」 「えっ」 「…