そこが海ではないとして

This is the meaning of my life.

さみしかったことだけおもいだす

 

寂しかった事だけ思い出す。

 

10代の頃のように心を病むことが少なくなった。必死に暗闇を踠くような、激しく胸が疼くような、急に叫び出したくなるような、あの感じがもう無い。その代わりにずっと心が沈むようになった。風邪薬を飲んだ後みたいに頭がぼーっとするようになった。何か大きな忘れ物をしているみたいだ。感情のポケットに手を突っ込むと、自分の社会的居場所があるようで無いいうことを証明してくれるレシートが入っていて、板チョコ108円や炭酸飲料151円などと同列に僕の価値が記載されている。せめて何もないと言いたい。どこにも行けないと言いたい。はっきりと絶望させてほしい。そう願うのは、絶望出来てしまうほうが楽だからかもしれない。僕は僕を見限ることなく、23度目の冬が来る。

はっきりと声を上げてもいい。救ってほしい。だけどどのようにすれば良いかわからない。具体的にどのようにしてほしいかも示せない。ずっと海にいる。息継ぎのできる海に。早くここから抜け出したいという気持ちと、抜け出したところで陸上では暮らしていけないのではないかという不安が共存している。何も考えていないことを考えている。長続きしない決意表明を繰り返している。それが今の自分。

昔はといえば、ずっとひたすらに寂しかった記憶がある。友人は少なくなかったけれど、真の心の内を見せられる人間がいなかった。喩えるなら1人だけ学区外に住んでいる小学生みたいな気持ちだった。楽しく遊んでいるけれど、みんなよりも早く帰らないとならなくて、自分が帰ったあとにもまだみんなは遊んでいる。僕がいなくてもみんな楽しんでいる。もしかしたら僕の陰口を言っているかもしれない。本当は除け者にしたいのかもしれない。そんなことばかり考えていた。

今も怖い。僕以外のすべての人間が、僕に対してどういう評価を下しているのかが本当に怖い。嫌われていると常に思う。疎まれていると常に思う。どうでもいいと思っているだろうとも思う。なんにせよ、良い感情は持っていないだろうと思う。人に嫌われているはずだ、みたいな感情はリセットされない。RPGの経験値みたいにどんどん積み上がっていく。23年分積み上げた。特殊な技をいくつか身に付けた。けれど、肥大化する自意識とかいう小ボスすら倒せない。本当に戦うべき社会のマップを歩けない。

全クリのないソシャゲみたいだね。人生。大したログインボーナスも貰えないね。どこでやめようね。