街を歩いていて、頭にふと浮かんだ曲がどうしても聴きたくなって、適当な場所に足を止めて鞄からイヤホンを取り出して、急いでそれをiPhoneに挿して、音量をできるだけ上げて聴いてしまう、みたいなことありませんか。僕にはあります。
音楽によって身体をぐいっと掴まれている。もう若くないんだから、子供じゃないんだから、って心の中のだれかが諭してくれそうなことばっかりだ。心の中から飛び出してきただれかが諭してくれそうなことばっかりだ。
嘘みたい、だとか、嘘だったんだね、だとか、そういう言葉に触れるたびにちょっとだけ寂しくなる。だけどそれと同じくらい嬉しい。嘘かもしれないと思うくらいに上手くいっていて、綺麗で、愛しくて、そして全部が本当なんだよ。
たくさんの夢が叶ってしまう。ジグザグに街を歩いていけばいかにもそれらしく、あたらしいお気に入りをたくさん拾える気がした。調子の良くない時は自分の幸福の足元にあるだれかの不幸についてばかり考えるのに、たまにそれらを思いっきり踏みつけてやりたい気持ちになる。
今日のために大好きなBase Ball BearのB面の曲を聴かないで過ごしてきたのかもしれない。まっさらな曲にまっさらな思い出を乗せていく。そのあとで、十代から何度も何度も聴いてきた曲に思い出を足していく。
どんどん濃くなってしまう!いつか底が見えてしまうのかと思いつつも、構わずに熱を入れて、あとでどうなったって知らない。
脳に灰汁 淵を覗けばぐつぐつと煮え滾る僕ら出会ってしまった