そこが海ではないとして

This is the meaning of my life.

リュックとクスクス 卒業旅行③

わからなくてもだいじょうぶ 卒業旅行② - そこが海ではないとして


東京の電車の好きなところ。リュックを前に抱えて持つところ。みんな抱えていてかわいい。別に東京に限ったことじゃないけれど、仙台ではやっている人を見かけない。

電車がそんなに混んでいないからだろう、と思う人もいるだろうが、そうでもない。仙台の列車は車両が少ないのでそれなりに混む。でも、リュックはみな背負ったまま。マナーとして浸透していないのだ。仙台の電車でリュックを前に抱えると少しだけへんな目で見られる。東京では抱え放題。うれしい。僕はうれしそうに山手線でリュックを抱えている。

 


吸い込まれるように奥渋谷へ。SPBSへ向かう。Shibuya Publishing & Booksellers。出版社と本屋を兼ねていて、店の奥にオフィスがある。こういうお店の割には選書がマニアックすぎないところが良い。いい意味でミーハーで、ちょうどいいところを突いてくる。「わたしを空腹にしないほうがいい」も置いている。店内音楽で折坂悠太が流れていて幸せな気持ちになった。ここには好きなものと好きになれそうなものしかない。

 


東京初日は映画を2本観た。アップリンク渋谷で「シスターフッド」を、ユーロスペースで「疑惑とダンス」を。映画の感想はまた次に書くとして、クスクスの話をしたい。クスクス、わかりますか。笑っているわけではなくて、アフリカ発祥の食べ物のこと。ちっちゃいお米みたいだけど、パスタの仲間らしい。クスクスは、「よく丸められたもの」「一番よい食べ物」「食事」を意味する言葉らしい。ひとつの言葉に意味を持たせすぎている。

映画と映画の間の時間に何か食べようと思っていたら、1本目の映画を見たアップリンク渋谷の1Fがレストランになっていて、クスクスが目玉料理だと書いてあった。僕はクスクスを知らなかった。好奇心に負けて、野菜とオリーブのクスクスを注文した。

 


クスクス。起源は古く、北アフリカに暮らしていたベルベル人の主食だったとされる。いざ、実食。そんなにおいしくない。付け合わせのカレーみたいなやつと混ぜてもクスクス自体はおいしくない。でも、カレーみたいなやつがおいしい。スパイスが効いていて、野菜がたくさん食べられて、オリーブもおいしい。でもやっぱりクスクスはそんなにおいしくない。ベルベル人にはなれない。

クスクスはもう二度と食べないかもしれない。でも響きがかわいいので何もかも許せる気になった。クスクス。ベルベル人っていうのもかわいい。でもベルベル人の名前の由来は結構悲しいものだと世界史で学んでいて、そんなところも含めて愛せる食べ物。