そこが海ではないとして

This is the meaning of my life.

「どっとvote!!」という強めのトラウマの話をしよう

今の自分に密接にかかわっているので書きます。1年経ってやっとこの話ができるようになりました。

 

「どっとVote!!」というのは、昨年の8月にあった仙台市議会議員選挙の若者向け選挙啓発を目的に、仙台市選挙管理委員会NPO法人ドットジェイピー東北支部(現・宮城支部)と僕(名義としてはNPO法人メディアージ)で作った動画です。

全部で5本あります。

どうしてこれを僕が作ったのかという経緯から説明します。市選管はドットジェイピーと組んで毎回若者向けの選挙啓発を行っていたのですが、今回は動画で啓発をしたいと市選管が話を持ち掛け、動画を作れる人を探していたら僕に行き着いた、みたいな感じです。

 

当時自分がドットジェイピーをどう見ていたか、って話は個人的な因縁や他の人のプライベートに関わるものが大きいので詳しくは書きません。良く思っていなかったという言葉だけで片付けるのは癪ですが、理由を書いてもどうにもならないので省きます。

 

最初に先方から頂いた台本があったのですが、正直言ってそのままでは撮影に入れなかったので(勿論、動画を一回も作ったことがない人に撮影用台本を書けというのは無理難題です。カメラワーク、見せ場の設け方、ネタ振りとオチ、などなどいろんな要素を入れなきゃいけません)、自分でタイトルを決め、台本を書き、人を集め、撮影をし、編集もする、といったように、動画に関することはほとんど自分がやらせて頂きました。

 

「若者×選挙」って色々な切り口から語れるし結び付けられるとは思うのですが、正直言って市議会議員というレベルになると、候補者も知らない、仕事も分からない、何を基準に選んだらいいかわからない、みたいな風に、国政選挙よりも「わからない」だらけになるよなあというのが自分の印象でした。本当は生活に一番身近な政治家さんこそが市議だったり県議だったりするんですけどね。

 

そして、市選管がリリースするので、あくまで公平に、特定の候補者や政党を応援するような内容にはなってはいけないという制約がこの動画にはありました。

 

そんなわけで、僕が目を付けたのは「仙台市選挙マスコットキャラクター・てとりん」でした。当時はゆるキャラ全盛だったので、「てとりん」の特異性にフィーチャーしたキャラ一点突破で勝負しようと考えました。まだまだ若者には知名度が低かった「てとりん」を選挙と結びつけることで、てとりんを見れば選挙のことを思い出す、という流れが出来ればいいなあと思ったわけです。「ふなっしー=千葉」「くまモン=熊本」のように。

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選挙マスコットキャラクター てとりん|仙台市

ポスターなどはIF I AMの天才デザイナー・ありりんに依頼しました。無理言って本当に申し訳なかったのですが、完成品のクオリティが高くて感動しました。こういうもの作れる人は強いよなあ。これ1年前のデザインなので、今は本人もかなりスキルが上がっていて、載せられるのは恥ずかしいかもしれませんが、好きなので載せておきます。

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「どっとvote!!」というタイトルは自分で考えただけあってかなり気に入っています。「どっと」は「たくさん」という意と「ドットジェイピー」の2つの意味が込められていて、「vote(ヴォート)」で韻も踏んでいます。言いやすくて覚えやすい。

 

大学への許可取りや動画の土台作りなどをしてくださったのは市選管さんで、色々とお世話になりました。何度もメールや電話で調整のやり取りをさせて頂きました。他の業務もあったのに思いっきり時間を取らせてしまったなあという感覚です。

 

この取り組みによって読売新聞さんとTHE PAGEさんから取材を受けて、Yahoo!ニュースに掲載されました。自分の名前とインタビューが載った記事を書かれるのは本当に嬉しかったです。

さて、これが自分のトラウマになっている理由は大きく分けて3つ。

 

1 自分で全て取り仕切ったが、結果が出なかった

2 ちょうどテスト期間に締切があったのでその期の単位は0になった

3 その後完全に燃え尽きてIF I AMから半年近く離脱した

 

上にも書いたように、動画のシナリオとか流れとか、全部自分で決めて動画編集もしました。

実は「どっとvote!!」以前に僕は動画をまともに作ったことが一度もありませんでした。自身の所属するIF I AMは当時Ustreamでのストリーミング生配信を主体に活動していて、たまに外で撮影をして編集をする、という団体だったので、あんまり動画を作っていなかったんです。自分のパソコンも持ってなかったし。

ほぼ初めての経験で、かつ他の団体さん(しかも仙台市選挙管理委員会さんだ、すごい)とお仕事させて頂けるという機会が舞い込んだので、死に物狂いで案出して撮影して編集して、ってやっていったんです。スケジュールはほぼこれのために費やしました。

でまあ、特に先方はKPIを設定していなかった(これに関しては批判になってしまいますけど、選管は割り振られた予算を使い切るための啓発をする、という印象でした。ちなみに僕は5本の動画を作りましたが無報酬でした)ものの、やるからには低下し続ける若年投票率の向上と動画再生1000回くらいは達成したいなと僕の中で思っていまして。

 

結果、若年投票率・合計投票率ともに前回より低下。何の結果も残せなかったので、何をしていたんだろうって気持ちになりました。

仙台市議会議員一般選挙の結果|仙台市

某地元新聞社には選管への批判記事を全5回くらいの連載で書かれました。正直これが一番ムカつきましたね。河北さん側には投票率を上げようという気持ちはないのかと。超影響力のある地元メディアだろと。選管が選挙啓発やりますってプレスリリースして、猛暑の中「てとりん」の着ぐるみを着て、女子大生も必死でティッシュ配って、そこに河北さんの記者がフラーっと来て名乗らずに写真を数枚だけ撮っていって、それがデカデカと批判記事の写真になってました。

 

選挙の投開票が8月2日だったのですが、7月末から8月頭って思いっきり大学のテスト期間なんです。その時期に撮影と編集の日程ががっつり入ったことで、結果としてテストは全蹴りしました。もちろんそうならない選択肢とかやり方はたくさんあっただろうし、自分のキャパシティ不足を痛感しました。他の人だっていろいろ予定がある中でテスト受けてますし何の言い訳にもなりません。

当時使ってたlenoboのパソコンは重くてすぐフリーズするし、5本の動画を超過密スケジュールで作ってたので毎晩徹夜してたし、学校のことは頭によぎったけど設定された締切を守るのに手一杯になってました。編集量も多いので1本あたりかなり時間掛かるんですこれ。

 

「どっとvote!!」の結果が良ければ、なんとか報われたかな、とも思うのですが、結果は散々、単位は山積でもうどうしようもなくなりました。自分のやってることに全く意味が見出せなくなったというか。

 

高校・大学と受験も落ちず、やってきたことはそれなりに結果が出て(というか失敗しない道を選んできただけ)、20歳までのほほんと生きてきた自分にとって、人生最大の挫折がどっとvote!!にまつわる様々な出来事でした。

しっかり生きてたら普通どこかで挫折するものなんですけど、それが自分にとってはこれだったという感じで、何やってもうまくいかない、周りからの信頼も得られない、じゃあもういない方がマシだなと、馬鹿みたいですけど本気で思いました。

 

そのあと本当にどうしようもなくなって、SNS系から全部離脱して、他人からの連絡もほとんど絶って、IF I AMもお休みして、大学とバイトだけっていう日々になったのが去年の今頃です。

 

何してたかほんと覚えてないのですが、ずっと虚無感だけがあったなあと。

少しずつ連絡取れるように回復しましたが、IF I AMに戻ろうとか、全く考えなかったですし、動画作ろうとも全く思わなかったです。そういう生活が半年くらい続きました。

死んでしまおう、とめちゃくちゃ思って、実際どう死ぬかまでは考えたところで、それを避けるために20万円のDellのパソコンを借金して買いました。返済終わるまでは死んじゃだめ、返済終わるまでバイトしなくちゃいけない、みたいな気持ちで無理やりバイト行って無理やり生きてました。実話です。そして完済済です。僕を生かしてくれたパソコンで今このブログを書いています。Dellさんありがとう。

 

書いてたら怒りと悲しみと無力感が蘇って来ましたんでまだ書くべきじゃなかったかもしれません。まだ書いてないことも公開すべきでないと消したこともありますが。

 

自分の思い通りにならないことは当然のように人生でたくさんあるんですが、「思い通りにならないとわかっているから諦められること」と「そうなって欲しくないと思っていたら本当にそうなってしまったこと」はまた別で、そうなって欲しくないことが立て続けに、しかもすべて自分のせいで起こりました。そして、すべて自分のせいであるのに、責任を他者に擦り付けて言い訳しやすい状況にあったことも、また自己嫌悪の原因となりました。

 

「誰かの為に頑張る」って良くないな、と思います。失敗した時にどうしても誰かのせいにしてしまう。どう考えてもそうしないのが正解なんですけど、誰かのせいと思っちゃう時点で負けですからね。負けです。だいたい、失敗して誰かの為にならないんで。邪魔ですからね僕。自爆して病んで終わりなので。

 

なぜ復活できたのか、という話はまた今度します。

最近調子が良かったので、また「誰かの為に頑張る」をこの前してしまって思いっきり失敗しました。もう何もしたくない。とりあえず色んなことを自分の為だけに頑張ろうとしています。さすがにあの時の生活には戻りたくないです。

 

冷静になってみればわかるんですよね。

市選管はターゲットを大学生に設定していたけど、市議選は仙台市民にしか選挙権がなく、しかも当時は選挙権が20歳以上にしかなかったので、宮城の大学生のうち選挙権を持つ確率が相当低い、つまりターゲットの選択ミスだったってこと。

そもそも動画がバズるには程遠いクオリティだったこと。

やることが多く、自分が自分が、となってどんどんワンマンになっていき周囲の協力を得られなかったこと。

わかるんですけど、それも含めての自分の失敗ですし、何やってもダメだなという気持ちには変わりありません。そもそも敵対心を持って仕事していいことないですよね。私情を持ち込み過ぎですよね。クソですね。

 

今でもテーマソングが鳴ったら泣きそうになるくらい思い入れが強いコンテンツですし、自分が動画を作るようになったきっかけでもあります。

全部終わって復活できた今だから、ポジティブにまとめられる部分もあるんですけど、これが無かったら、とか、これがうまくいってたら、とか、色々考えてしまうものです。