ボケ「どうもー八月の風です」
ツッコミ「よろしくお願いします」
「昨今、ツッコミは言葉のレパートリーが多いほど良いみたいな風潮ないか?」
「昨今!?昨今って言葉を漫才の導入で初めて聞いたよ。論文とかで使われるワードだろ」
「それはいいんだよ。俺は大衆に迎合しない」
「なんだそれは。でも確かにツッコミは言葉巧みなほうが面白いですよね。フットボールアワーの後藤さんとか、南海キャンディーズの山里さんとか」
「でも俺は、少ない言葉で的確にツッコミができるのが、真のツッコミだと思うんだよね」
「少ない言葉でツッコミ?」
「うん。だから今日はお前に真のツッコミ、もとい、ツッコミスタになってもらいたい」
「ダサいな!」
「説明聞いてもダサいわ」
「ダサくないだろ、真のツッコミにのみ与えられる称号だぞ」
「真のツッコミってまず何!?」
「今日、お前は漫才中に3種類のツッコミしかしてはいけない」
「なんなんだよそのイカれたルール」
「1つ目は…それ逆やないか~い!」
「うざったいツッコミだな!しかもなんで関西弁なんだよ」
「手の振りもちゃんと付けろよ」
「めちゃくちゃ恥ずかしい!お前よくできるな!」
「2つ目は…お前の常識と俺の常識が異なるという点は重々承知しているがこの件に関して何か正確な情報があって発言しているのか!?」
「長い!長いし堅い!なんだこれ!」
「そして3つ目は…スリランカの死刑囚か!」
「これはいつ使うの!?」
「この3つのみを駆使してツッコミスタ道を極めてほしい」
「前提条件がイカれ過ぎてるだろ!ほぼ使えねえよ!でも、お前はこの3つのワードに合わせたボケをしてくるってこと?」
「俺は大衆に迎合しない」
「やかましいな!」
「あ、今のツッコミも3つの中に無いので禁止な」
「もうどうしたらいいんだよ」
「じゃあ早速始めるぞ。昔ながらの寿司屋っていいですよねー」
「急にフリに入った」
「俺が寿司屋の大将やるから、お前は客として入ってきて」
「客をやればいいのね。3つのワードでツッコミってどうなるんだろう」
「…よし、今日は奮発して回らない寿司を食べるぞ。すみませーん(ガラガラガラ)」
「へいらっしゃい!」
「一人なんですけど、席空いてますか?」
「はい、じゃあこちらの席へどうぞ」
「ここまでは普通だな…こういうお店はじめてなんですけど、おススメのネタってありますか?」
「三陸の海で獲れたばかりのウニなんてどうです?」
「あーいいですね、じゃあそれください」
「はい、ウニお待ち」
「あーちゃんとウニが来た。ありがとうございます。」
「市場で活きのいいものを選んでるから絶対おいしいよ」
「へえ…市場で…へえ…」
「それから、今日入った天然のマグロもうまいよ」
「天然の。どこで仕入れてるんですか?」
「うちは大間。やっぱり大間が一番良いんだよねえ」
「大間…これも正しいな…逆でもないし」
「はいこれ、サービスのホタテ貝の炙りね」
「サービスでホタテ貝…っておい良い店か!!!」
「そのツッコミはお前の辞書に無いはずだ。反則だ」
「3つのワードしか書いてない辞書はそれただの1枚の紙だろ!」
「どうして規則を守らない」
「ボケろよ!お前がずっと正しいからツッコめないんだよ!」
「正しいのは良いことだろ」
「ただでさえツッコミをガチガチに制限されてるのに、さらにツッコませないっておかしいだろ!3つの言葉ではツッコミ切れないボケをして、見当違いのツッコミになるパターンのやつじゃないのかよ!」
「もう一度言う。俺は大衆に迎合しない」
「せめて相方には迎合してくれ!」
「じゃあ最初からやり直すから、お前今度は絶対にルールを破るなよ」
「そもそもお前が決めたルールがおかしいんだけどな」
「…よーし寿司食べに行こ、すみませーん(ガラガラガラ)」
「らっしゃいへい!」
「ん、らっしゃいへい…?って逆やないか~い!…先が思いやられるなこれ」
「1名様ですね、こちらのテーブル席へどうぞ。はいらっしゃい、お次の6名様、カウンター席へどうぞ」
「逆やないか~い!6名をテーブル席に通せ!俺テーブル持て余すから!」
「お客様、先にお会計になります」
「逆やないか~い!何も食べてないのに!?」
「こちらウニの上にシャリが乗っています」
「逆やないか~い!シャリの上にウニな!」
「マグロご注文ですね、では今から市場に行ってきます」
「逆やないか~い!競り卸してから店開けろ!」
「うちはバリバリの江戸うしろ寿司でっせ!」
「逆やないか~い!江戸の前に出ろ!江戸前寿司だろ!」
「座った!クララが座った!」
「逆やないか~い!クララは立て!」
「こっちがマナで、あっちがカナ」
「逆やないか~い!こっちがカナであっちがマナ!」
「とくダネのあとはめざましテレビ!」
「逆やないか~い!三宅時々女子アナのち小倉のちアマタツ!」
「引っ越ししてから荷造り」
「お前逆のボケしかないんか!」
「お前こそ残り2つ全然使えてないじゃないか」
「完全にお前のせいだからな。途中から寿司屋まったく関係ないし」
「あと、マナカナはあれで合ってた」
「マジか。それはごめん」
「お前全然だめだな…こんなんじゃいつまで経っても真のツッコミの…あの…ツッコミ…ツッコミなんとか…なんだっけあのダサいやつ」
「ツッコミスタな!ダサいって認めちゃってんじゃねえか」
「とにかくお前全然できてないから罰ゲームな」
「罰ゲーム!?聞いてないぞ、何させられるんだ」
「ギロチンで首を切断する」
「いや…たぶんスリランカの死刑囚か!」
「そのあとに裁判」
「いや逆やないか~い!」
「おい、お前の常識と俺の常識が異なるという点は重々承知しているがこの件に関して何か正確な情報があって発言しているのか!?」
「それお前が言うのかよ!もういいよ!」
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漫才って超難しい。どういう人がボケなのかっていうのも決まってないし超難しい。でも作るの超楽しいですよ。気休めの趣味にぜひ。