そこが海ではないとして

This is the meaning of my life.

巻頭カラー

 

空を魚が泳いでいるみたいだった。光る魚?

 

直線距離にして180km。これを宇宙と捉えて交信を続けていた。ふたりで空を眺める。見たいもの、聞きたいものを知っていた。はぐらかすように。時が来るのを待つように。決して見失わないように。

国際宇宙ステーションGoogleが内部のストリートビューを公開した。ここまでされると、本当にそれが宇宙の果てにあるものだということを忘れてしまう。新幹線か何かで40分くらいで行けるんじゃないの。

インターネットの海に溺れてしまっている。見たもの、触れたもの、聞いたものがどんどん減っている気がする。誰かが知ったことを取り入れる生活。だからというわけではないけれど、試してみたくなる、希望の可視化。

 

心の皮膚が薄いからいつも傷付いている。そのくせに誰かのことも思いっきり引っ掻いていて、なんども手を洗って善良なフリをした。宇宙ステーションが見えて何になるというのだろう。やり直しの空にまっすぐ伸びた光。君が銀河鉄道に乗ってしまう前に、どうにか受け取ってほしい地球の言葉。

気付けばずっと光を探していたようで、夜にずっと紛れ込んでいた。2人だけにわかる合図、舞台のような歩道橋、曖昧な言葉だけで成立させていたい。

 

失わない光がいいな。終わらない連載がいいな。巻頭カラーのようなはじまりを見つめている。いつか振り返った時に姿形が変わっていても、おんなじ物語の中にいることを忘れないで。

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