そこが海ではないとして

This is the meaning of my life.

鬼に侵略された男

鬼のようにとは動詞や形容詞の前に付け、「すごく」「非常に」「大変に」といった意味で、後に続く言葉を強める修飾語である(例:鬼のように早い=凄く早い・非常に早い;鬼のように眠る=すごく眠る=(死んだように)深く眠る)。後に「鬼~」だけで、「超~」や「激~」のような強調語として使われるようになる。 

 最近「鬼のように」という修飾語が口癖だ。

 

鬼のように強い、鬼のように面白い、鬼のように難しい、といったように、気付いたら僕は鬼を召喚してしまっている。

何の影響だっただろうか。テレビでタレントが使っていたからだろうか。鬼のように思い出せない。どうした、どうした、僕の心は鬼に侵略されている。今すぐに桃太郎を呼んできて欲しい。

 

「超」「めっちゃ」みたいな俗語を使うのが嫌になったので、別の表現を探していた、という記憶はある。俗にまみれた人間なので、「それめっちゃいいですねー!」「超面白い!!!」と口走ってしまうのだけれど、その度にすこし恥ずかしくなる。「ヤバイ!!!」なんて言った日には顔が真っ赤になってしまう。もっと美しくて、代用不可で、正確に物事や心情を言い表した表現がしたいのに!

焦った僕は、「超」禁止令を発令した。表現の行き先を失った僕が鬼を求めた。僕は色んなものを見るたびに「高山、それ鬼みたいだね」「佐藤さん、鬼も先日それやってましたよ」「社長、鬼に並びましたね」みたいなことを言っている。僕は今、鬼を鬼リスペクトしている。

 

しかし、「鬼のように」もまた俗語なのであり、基本的には「超」とか「めっちゃ」とかとは変わらないのだ。比喩表現によって少し高尚な人間になったつもりでいるけれど、基本的には「鬼可愛い~」と言ってるギャルと一緒なのだ。僕はギャルだ。プリで鬼盛りする鬼ギャルだ。

本日をもって僕は鬼禁止令を発令する。今後もし僕が会話の途中に鬼を持ち出したら、心を鬼にして注意してほしい。鬼が笑うようなことを言うなって?